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【7月号】


「哀しき団塊」 喜怒哀子


 私は団塊の世代です。だから、2007年問題とか、大量定年退職者の今後とかいう話を聞くと、「なになに」と興味をもって聞いてきました。
 山口文憲の『団塊ひとりぼっち』とか、残間さんの『それでいいのか蕎麦打ち男』も買って読みましたし、『モグラ女の逆襲』も本屋でパラパラ立ち読みしました。(こちらを買わなかったのは、こんなに人の悪口書いて儲ける人に、これ以上儲けさせることもないか、と考えて。それに厳密に言えば、この人団塊の世代じゃないのに、団塊っぽい顔してなんだかんだ言い、それで商売しているのも、ちょっとどうかと思ったりして)
 でも、この人に言われるまでもなく、団塊世代の女性って、なんかつかみどころがないというか、「団塊女って、こういうタイプ」といえる人が案外いなくてバラバラなんですね。
 私が高校生(県立)の時、1学年に17クラスあって、教室が足りず、理科室なんかをホームルームにしてたりしたんですけど、その1クラスの生徒数も55人だか57人だかがいたんですよね。そして、授業も受験に合わせ、国立理系コース、国立文系コースと、私立の理系、文系に分かれていたんですが、就職コースも確か2クラスくらいあったんですよ。だから、今みたいに大学にいく子がほとんどというわけではなく、高卒で就職するのは結構普通だったような気がします。
 さすがに就職コースをとるのは女子ばかりだったんですが、進学校の就職コースだから、就職先も銀行とか公務員とか、結構堅いとこが多かったみたいですけど、私が若い頃って、女の子の結婚適齢期が23、4歳だったから、それこそせっかく就職しても、当時でいう「腰掛け」程度の年数で寿退社し、主婦になっちゃった人とかって結構多いんです。
 だから、今の年齢だと、孫がいる人が圧倒的に多いんだろうと思うのですが、その人たちって何してるんだろう? 孫の守りとか、年老いた親の介護とかをしてるのかしらん? 私って、ずっと仕事してきた人間で、高校時代の友達とかとほとんどご縁がなくなってるし、結婚も33歳と遅かったから、子どものお母さんたちとも話が合わず、あんまり友達になれなくて、よくわからないんですよね。人数が多いのに、顔が見えない不思議な世代、っていうのが団塊女性という気がします。
 それはともかく、団塊の人数ってなにしろはんぱじゃないですから、団塊世代の定年退職のことが話題になり始めると、「それっ」ていうんで、団塊向けのいろんなビジネスだの、企画だのが、次から次いっぱい出てきました。
 一番狙われたのは、やっぱり退職金ですね。あの手この手で使わせよう、投資させよう、貯金させようと、CMなんかもやたら増えました。
 その次は、タダの労力としてのボランティア。あなたの持っている技術や能力や、時間を、社会のために役立てて下さいと、いろいろアピールするところが増えました。
 過疎化と高齢化に悩む地方では、どうぞ故郷にUターンして下さい、Iターンしてください、Jターンしてくださいと、移住に向けてのアピールもいろいろありましたね。中には海外に移住するなんていう話もありました。
 人手不足に悩む業界からは、再就職のお誘いもありました。団塊っていっても、みんながみんな退職金たっぷりもらったわけではないから、再就職せざるを得ないって人も結構いたみたいだけど、ホームセンターなんかで、先輩格らしい若い店員に「○○さん、この商品はこうやって並べないと」とかいって叱られながら、懸命に働いているオジサンなんか見かけたりしました。
 なにしろ、団塊向けの売り込みは、「これでもか」というほどあったので、全部は覚えていないんですけど、趣味にお金使って下さいっていう筆頭は、なんといっても「旅行」。暇とお金があれば、まず、それですよね。
 長年苦労かけた女房孝行のために海外旅行を、というのは定番だけど、しっかり財布の紐を締め、国内を列車で旅する「鉄ちゃん」と「鉄子」が急増したという話も聞きました。
 それとか、団塊世代若かりし頃は、グループサウンズとかフォークソングの絶頂期でしたから、もう一度「バンドを結成しよう」とかなんとか、親父バンドが増えて、結構楽器が売れているという話も聞きました。
 あと、女房に気に入られないと家にも居りづらいのか、料理教室に行ったり、家庭菜園で野菜つくったりと、実益を兼ねた趣味に走る人も多いみたいですね。
 ボランティアというのも、結構期待されてました。どこも人手不足だから、「お父さん、お帰りなさい」とかいうキャッチフレーズで、なんとか参加してもらおうとしてるみたいです。

 そうそう、ボランティアといえば、こんな話もありました。ある人のお父さんが、学校の先生をしていて定年を迎えたんですけど、ずっとうちにばかりいるので家族も鬱陶しい。それで「お父さんの知識を生かして、どっかでボランティアガイドでもしたら?」って勧めたらしいんです。するとお父さん、その気になって、さる施設にボランティアガイドをすると申し込んだら、そういう希望者がいっぱいいて余ってる状態だから、と婉曲にお断りされたらしいんですね。それって、なんか哀しい。団塊の世代って、いつも「余ってた」けど、善意の行為すら余ってるんですね。

 ところで私、ダイエットのために、夕方、川の土手に散歩に行ってるんですけど、じいさんばあさん……失礼、ご年配の方々が、夫婦連れや犬連れで、ぞろぞろぞろぞろ行軍みたいに歩いてまして、健康と長寿に向けての執念が感じられ、なかなか壮観です。
 そのうち、図書館とかに行っても団塊でいっぱい、港の防波堤に行っても団塊の釣り客でびっしり、パチンコにいっても団塊の客で大混雑とかってことになるんですかね。ダンカイを踏んで増えていくのはいいけど、急に増えるとね……とかっていうふうに、男も女もダジャレを言うのは、団塊の特徴だそうです。

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