第1章 工作機械

1−1 工作機械とは

工作機械とは、ひろい意味ではいろいろな材料を必要な形状、寸法、表面状態に加工する機械をいう。加工をうける材料によって

@金属加工機械
A木材加工機械
Bその他
(プラスチック加工機械、石材加工機械、紙加工機械など。)

がある。加工の種類には、その方法によってつぎのようなものがある。

●切削加工
●切りくずのでる加工
●研削加工              
●塑性加工
(鍛造、引き抜き、押出し、曲げ、絞り、転造、打抜き、圧延など。)
●切りくずのでない加工  
●溶融加工
(鋳造、溶接など。)
●特殊加工(放電加工、電子ビーム加工、レ−ザ加工、電解加工、化学加工、粉末や金加工など。)

しかし、工作機械とは一般にもっとせまい意味に用いられ、おもに金属を、切りくずをだしながら目的の形状、寸法、表面状態に加工する機械のことをいう。いま、ある材料から一つの品物をつくりだすとき、その材料の余分な肉を削りとって、しだいに希望する形状、寸法に近づけることができる。このとき、削られている材料を工作物といい、また削りとられた不必要な部分を切りくずという。このような加工法を切削加工という。また、工作機械とは、工作物と工具とのあいだに一定の相対運動をあたえるための装置である。したがって、工具が人間の手にあるうちは、まだ工作機械とはいえない。本格的な工作機械は、19世紀をさかいに発明、改良が行なわれ、モーズレーの旋盤において、はじめて工作物と工具とを機械的に保持する基本的な形態が確立した、といわれている

1−2 切削加工

1−2−1 切削とは

 いま、鉛筆を削る場面を思いうかべよう。このとき、刃物の先端が鉛筆にくい込み、薄くそがれた部分は、刃の片面をすべりながら鉛筆からはなれる。薄くそがれて材料からはなれた部分を切りくずといい、切りくずが接してすべる刃物の面を、すくい面(rake face)、材料の中にくい込む刃の先端を切れ刃(cutting edge)という。
 “削る”とは、このように、刃物のすくい面に沿って切りくずを発生させることで、たがねを用いて“はつり”作業をするときは材料を削ることになるが、板金などを断ち切るときは削るとはいえない。おもに金属を削ることを切削(cutting)という。

1−2−2 切削加工の方法

工作機械で行なわれる切削加工には、つぎのようなものがある。
@ 施削(lathe turning)
A 穴あけ(drilling)
B 中ぐり(boring)
C フライス削り(milling)
D 平削り(planing)
E 形削り(shaping)
F 立て削り(slotting)
G ブローチ削り(broaching)
H のこ引き(sawing)
I やすり仕上げ(filing)
J 研削(grinding)
K ホーニング仕上げ(honing)
L 超仕上げ(superfinishing)
M ラップ仕上げ(lapping)
N つや出し(polishing)
O バフ仕上げ(buffing)
 研削、ホ−ニング仕上げ、超仕上げは、といしを工具として微量ずつ工作物を削りとる加工法であると考えられる。ラップ仕上げ、バフ仕上げは、ラップやバフにつけた微細なと(砥)粒によって工作面を仕上げる方法である。つや出しは、研摩布紙を用いて工作面を仕上げる方法で、研摩布紙の表面についていると粒によって微量ずつ工作物を削りとるものだる。といし(砥石)やと粒を用いて行なう加工を、とくにと粒加工(abrasive machining)とよぶ。
1−3 工作機械の運動


工作機械では、工作物と工具とのあいだに、つぎの三つの運動があり、切削加工が行なわれる。

@ 切削運動…切りくずをつくるための運動。
A 送り運動…工具に対して、工具または工作物を、工作物の未加工の部分へ移動させる運動。
B 位置決め運動…工作物に必要な形状、寸法をあたえるため、工作物や工具の位置を決める運動。

また、運動の方向や性質によって
  回転運動  一方向運動  連続運動
  直線運動  往復運動  間欠運動

がある。たとえば、施削では工作物の連続回転運動が切削運動で、刃物の側で位置決め運動と送り運動をする。また、平削りでは工作物の直線運動が切削運動であり、工作が位置決め運動と送り運動をする。このとき、施削における送り運動は連続した動きであるが、平削りにおいては、刃物は間欠的に動く。また、同じ穴あけでも、工作物と工具のあいだにはいろいろな運動の組会わせがあり、これらは工作機械の種類や形式、加工方法などによって決まる。

1−4 工作機械の種類


工作機械は、つぎのように分類することができる。

1−4−1 作業の融通性による分類

@ はん(汎)用工作機械、A 専用工作機械、B 単能工作機械、C 多能(万能)工作機械

●はん用工作機械は、かなりひろい範囲の形状、寸法の工作物の加工ができるもので、適当な付属装置類などを使用することによって、各種の作業に応用することができるものである。
●専用工作機械は、特定の工作物の加工を行なうものである。
●単能工作機械は、作業の内容がはん用工作機械に比べて限られたものである。
●多能工作機械は、1台ではん用工作機械2種類以上の作業ができるものである。
●複合工作機械とよばれるものもある。はん用工作機械のうちでも、作業範囲のひろいものを万能形とよぶこともある。

1−4−2 作業の能率による分類

@ はん用工作機械、A 生産工作機械に分けられる。

生産工作機械は、はん用工作機械の融通性を犠牲にしても、単位時間当たりに、より多くの加工量(より多く切りくずをだす。)を目的としたものである。したがって、全体の剛性が高く、構造や操作が単純となっている。単能工作機械、専用工作機械は、能率上からみれば生産工作機械である。

1−4−3 操作方法による分類

@ 手動式、A 半自動式、B 自動式に分けられる。

切削運動、位置決め運動、送り運動の起動、停止をすべて人間が行なうものを手動式という。工作物の取付け、取りはずしを人間が行ない、加工が終わるまでの各工程を自動的に行なうものを半自動式という。工作物の供給、取付け、加工、取りはずしまで一貫して自動的に行なうものを自動式または全自動式という。加工行程の一部だけ自動的に行なうものでも、自動式ということがある。一般に、単能、専用、生産形などの工作機械は、自動化されている

1−4−4 構成による分類

@ 一体形工作機械、A ユニット工作機械、B トランスファ マシンに分けられる。

一般に使用される工作機械は、1台ずつそれぞれ一つの基礎(ベッド、ベースなど。)に組み立てられ、独自の性格をもっている。
 ユニット工作機械は、標準化されて互換性があり、単能作業をするユニットを、工作物の形状、寸法や加工行程に合わせて組み立てることのできるものである。
 トランスファ マシンは、数行程を要する工作物の加工を、つぎつぎに自動的に流れ作業方式で加工することのできる専用工作機械のグループのことである。

1−4−5 機械の向きによる分類

@ 立て形、A 横形、B 傾斜形、C 複合形、D 可変形に分けることができる。

切削運動が回転運動の場合には、回転軸が垂直なものを立て形、水平なものを横形という。切削運動が直線運動の場合には、垂直方向に運動するものを立て形、水平方向に運動するものを横形という。

1−4−6 名称による分類

工作機械には、一般に、作業内容によって、つぎの示すような名称でよばれるものがある。

@ 旋盤(Lathe)
A ボール盤(Drilling machine)
B 中ぐり盤(Boring machine)
C フライス盤(Miiling machine)
D 平削り盤(Planer、Planing machine)
E 形削り盤(Shaper、Shaping machine)
F 立て削り盤(Slotter、Slotting machine、Vertical shaper)
G ブローチ盤(Broaching machine)
H 金切り盤(Sawing machine)
I 研削盤(Grinder、Grinding machine)
J ラップ盤(Lapping machine)
K ホーニング盤(Honing machine)
L 超仕上げ盤(Superfinishing machine、Superfinisher)
M バフ盤(Buffing machine、Polishing machine)
N 歯切り盤(Gear cutting machine)
O 歯車仕上げ盤(Gear finishing machine)
P その他(ねじ立て盤、心立て盤、組合わせ工作機、マシニング センタ、複合工作機など。)

これらの各工作機械は、さらにいくつかの種類に分けられる。

1−5 工具


工具(tools)には、つぎのようなものがある。

@ 切削工具、A 研削工具、B 測定工具、C ジグ、保持具、D 作業用器具、E 金型

工作機械には、おもに@〜Dまでの工具類が使用される。切削工具とは、工作機械に取り付けられ、切削加工に使用される工具で、バイト、フライス、ドリル、タップ、ダイスなどのことである。

研削工具とは、と(砥)粒によって加工をする工具で、研削といし(砥石)、研摩ベルトなどのことである。

測定工具とは、工作物などの寸法、形状を調べるときに使用されるもので、ノギス、マイクロメータ、ダイヤル ゲージ、直角定規などのことである。

ジグ、保持具とは、工作物を加工したり組み立てたりするときに、これを正しい位置に固定する道具で、作業を正確に、速く、むらなく行なうために使用される。切削工具を案内する部分をもつものをジグといい、これをもたないものを保持具という。

作業用器具というのは、機械類の仕上げや組立て、あるいは分解するのに必要な道具のことで、スパナ、ハンマ、ねじ回しなどのほかにも、電気グラインダ、電気ドリル、空気グラインダなどの手持動力工具類もふくまれる。

また、税法上の分類によって分けるとすれば

@ 資産工具、A 消耗工具  の2種類になる。