リウマチの薬物療法と副作用 奥田 恭章
1.はじめに
薬は効果だけあり、副作用がないのが理想です。しかし、残念ながら、人それぞれの体質の違いなどにより、 副作用の出やすい人、まったく出ない人がいます。処方する医師のほうもそれぞれの患者さんの条件に合わせてできるだけ効果は大きく、 副作用は少なくするように考えてお薬を出しますが、残念ながら副作用はしばしば出現します。もちろん薬を飲まないにこしたことは ないのですが、残念ながら病気が進行してしまいます(リウマチでは、痛みとともに骨破壊・変形が進み、体が不自由になります)。 それに対応するためには自分の飲んでいる薬について効果・副作用を理解しておくことが大事です。 また、万一、副作用の出たときの対応もよく理解しておきましょう。
自己調整について
基本的には自分の判断で勝手に薬を飲まなかったり、たくさん飲むのは避けるべきです。もし、患者さんが副作用が 怖いからと黙って薬を飲まなかったり、減らしたりしたら、効果が不十分の可能性が高いですから、次回の受診で医師は薬を増やす かもしれません。この時点で自己調節していたことをお話していただければ問題ないのですが、黙っていれば正確な治療効果判定、 診療は成り立たないことになってしまいます。自己調節したいと考えた時は医師に気軽に聞いてください。自己調節が可能な薬なら、 医師はOKを出します。また、避けたほうがよい場合はその理由を説明いたします。もし、理由がわからなければ、わかるまで聞くように しましょう。
副作用が出た時の対応について
高い熱が出る、息苦しいなど重い副作用の可能性がある時は、絶対に次の受診や診察日まで待たずにすぐに主治医に連絡し、 相談してください。万一、主治医が不在の時も他の担当医に必ず相談してください。軽い吐き気やかゆみや発疹などで薬を休んだ時は受診時 に必ずそのことを伝えましょう。副作用が疑われる場合の自己調節、一時中止はOKです。この場合に実際に症状がその薬の副作用だった場合 は次のような対応になります。薬がよく効いてる場合は、その薬を減量したり、副作用防止の薬を使用して再開することによりうまく治療 できる場合が多くあります。また、効果が不十分だったり、副作用の程度が強ければ、他の薬に変更することが多いでしょう。再開、変更等の 理由は医師が説明しますが、理解できなければ、わかるまで聞くようにしましょう。また、自分自身の希望や疑問があれば医師に伝え、 納得したうえで治療を受けてください。万一、受診後にあらたな疑問ができ、自己調節した場合も次回受診時には必ず医師に伝えてください。 以上は基本的な副作用に対する対応の考え方です。つぎに、リウマチで使用する各薬剤の特徴と副作用についてお話します。
2.NSAIDSについて(=エヌセイズ、消炎鎮痛剤、痛み止め)
関節の痛みに対する鎮痛効果が主体となる薬です。関節破壊の進行を阻止することはできません。NSAIDSには非常に多くの薬が ありますが、ほとんど同じ作用機序のため、原則として1剤のみ使用します。2剤、3剤と併用しても相加効果はほとんど期待できません。一方、 副作用(特に消化管潰瘍や出血性胃炎)は相加的に増加します。2剤使用する時は、経口剤1剤と坐薬が上部消化管への直接粘膜障害を軽減のために 用いられますが、やはり単剤よりは副作用出現率は高いです。副作用は、代表的なものは胃腸障害、腎障害で肝障害や皮疹も認められます。 このうち胃腸障害は、もっとも重要です。NSAIDS服用者は、上部消化管内視鏡を定期的に行うことが勧められます。その理由としてNSAIDS内服中 の患者さんは無症状の潰瘍や出血性胃炎などの上部消化管障害を認めることがしばしばあるからです。
胃腸障害などの副作用を減らすためNSAIDSも少しずつ改良、進歩してきました。
- ・徐放剤 − 腸でゆっくり溶ける。インテバンSPなど
- ・プロドラッグ − 吸収されてから、活性型となる。ロキソニン、クリノリルなど
- ・COX(コックスという酵素)2阻害剤 − 生理的なCOX1を抑えず、炎症の場のCOX2を抑える。セレコックス、モービック、オステラック、レリフェンなど
3.DMARDS(ディ-マーズ、免疫調節剤・抑制剤)について
リウマチの関節炎の経過を変え得る(関節破壊の進行を遅らせる可能性がある)薬剤で、リウマチ治療で主役となる薬です。 リウマチは、原因不明ですが、関節での種々の免疫異常が病態を形成しており、そのいずれかの免疫異常に働き、関節炎の進行を抑えると 考えられています。薬剤により作用機序は異なっています。
使い方の実際と特徴
- ・一般に遅効性(ゆっくり効いてくる)です。効果がでるまでに1〜6カ月かかります。
- ・レスポンダー(薬が効く人)とノンレスポンダー(薬に反応しない人)がいます。
- ・薬剤間で効果や副作用に差が認められ、患者さんの病態に応じて使い分けます。
- ・各薬剤で効果がでるまでの期間が異なり、効果、副作用のモニタリングに留意して使用します。
- ・何年か使用していると効果の減弱が認められることがあります(エスケープ現象または二次性無効)。
- ・NSAIDSと異なり、活動性の高い症例には相加効果を期待して併用療法が行われことが多いです (作用機序や副作用がそれぞれの薬剤で異なるため)。
各DMARDSの特徴と副作用
1.リウマトレックスなど(メトトレキサート = MTX)
- ・効果発現までの期間:1-2カ月
- ・使用量:2mg(1カプセルまたは1錠)-8mg(4カプセルまたは4錠)/週(活動性が高い場合、合併症のない人はさらに増量することがあります)。 投与法は週2-3回のみ飲むのが原則。
- ・特徴:効果の発現が早く、用量依存性(多い方が効果が高い)の傾向が強い。 強力な抗リウマチ作用から現在もっとも使用されています。他のDMARDとの併用での相加効果も期待できる薬剤です。最近は、活動性の高い方には早期から積極的に使用されるようになっています。
- ・副作用:高齢者、腎機能低下した方は副作用がでやすいので用量調節(少量から使用すること)が重要です。
消化器症状(悪心など)、口内炎、脱毛(軽度)、肝機能異常、骨髄抑制(1.白血球減少:免疫力が低下し感染に 罹りやすくなる。または、2.赤血球減少:貧血。または、3.血小板減少:止血機能が低下し、 出血しやすくなる。 高熱が出る、血が止まりにくいなど疑わしい症状があればすぐに受診してください。)、間質性肺炎 (まれだが重篤な副作用になることがあります。アレルギー性に生じるので投与期間や投与量には関係ないとされています。 万一、空咳、息切れ、発熱が生じた時は、ただちに受診あるいは主治医に連絡してください。)、 感染症、催奇形性(出産計画にあたってはMTX中止後、3カ月は妊娠をさけるのが原則です。) 葉酸欠乏によると考えられる副作用(消化器症状、皮膚粘膜症状、骨髄抑制、肝機能異常)の予防として葉酸(フォリアミン) を一部の患者さん(高用量使用者など)で用います。MTX最終内服日の翌々日に5-10mg(1-2錠)のフォリアミンを服用します。 軽度副作用例はフォリアミンの使用(原則としてMTXは継続)、高度副作用例(汎血球減少(白血球、赤血球、血小板がすべて減少) など)はMTX中止、ロイコボリンの注射(活性型葉酸)にて対応します。
2.リマチル
- ・効果発現までの期間:1-4カ月
- ・使用量:50mg-300mg/日
- ・特徴:効果が強く、有効性は高い。使用法は、漸増法(1T⇒2T⇒3T、通常200mg/日まで)で用い、効果が現れた時点で維持量とします。
- ・主な副作用:腎障害(タンパク尿−受診毎に必ず検尿をチェックします。 足がむくみだした、おしっこの泡立ちが目立つ時は早めに受診してください。)、 皮疹、口内炎、味覚障害、骨髄抑制、間質性肺炎(MTXの際と同様の対応をしてください)、yellow-nail症候群(爪が黄色く肥厚する)など
3.アザルフィジンEN
- ・効果発現までの期間:1-2カ月
- ・使用量:250-1000mg/日
- ・特徴:即効性で、中等度の効果を示します。 他の薬剤に較べ、副作用が少なく、早期の軽症から中等症の方にもっともよい適応となります。 用量依存性(量が多い方が効果でやすい)あり。
- ・主な副作用:皮疹、日光過敏、胃腸症状(腹部不快感)、骨髄抑制(軽度)、肝障害など
4.プログラフ
- ・効果発現までの期間:1-4カ月
- ・使用量:0.5-3.0mg/日
- ・特徴:有効性は高い。効果や副作用が血中濃度にかなり依存するので、それぞれの患者さんに応じて注意深く使用します。 また、MTXなどのほかのDMARDSと少量(0.5-1.5mg)を併用し有効性を示す症例も多く経験します。一方、併用禁忌、注意の薬剤も多い(血中濃度に影響されます)ので 注意しながら使用します。グレープフルーツジュースは、血中濃度を上昇させるので、治療中は飲まないようにしましょう。腎機能障害、耐糖能(糖尿病)、膵機能障害(膵炎)、 血圧などは定期的にチェックして使用します。
- ・主な副作用:腎機能障害、糖尿病、膵炎、感染症、高血圧など
5.シオゾール(注射用金製剤)
- ・効果発現までの期間:3-6カ月
- ・使用量:10-25mg ,1回/1-2週
- ・特徴:効果は比較的強く、もっとも歴史のある抗リウマチ剤です。 slow and steady(ゆっくりじわじわと)で効果発現まで、約300mgの蓄積を要します。 最初の数カ月は、毎週筋注をする必要があり、また、遅効性の点から使用頻度は減少傾向にあります。
- ・主な副作用:腎障害(タンパク尿、血尿(リマチルの際と同様の対応をしてください)、 皮疹、口内炎、骨髄抑制、間質性肺炎(MTXの際と同様の対応をしてください)
6.メタルカプターゼ
- ・効果発現までの期間:3-6カ月
- ・使用量:50-300mg/日
- ・特徴:注射金剤と並び歴史のある抗リウマチ剤で効果は強い。 漸増法(1T⇒2T⇒3T、通常200mg/日まで)で用い、効果の出た時点で維持量とする。 空腹時内服し、ビタミンB6の投与(味覚障害などの副作用予防にて)も同時に行います。
- ・主な副作用:発疹、口内炎、腎障害(タンパク尿−リマチルの際と同様の対応をしてください)、 骨髄抑制、味覚障害(金属味、異味症)、他の自己免疫疾患の誘発
7.チオラ
- ・効果発現までの期間:1-4カ月
- ・使用量:200-600(2-6錠)mg/日。
- ・特徴:本来、慢性肝疾患や白内障の治療薬ですが、リマチルやメタルカプターゼと似た化学構造を持っており、免疫調節剤としてリウマチにも用いられます。副作用は比較的少なく、有効例も多く経験される薬です。
- ・主な副作用:皮疹、消化器症状、まれに肝障害や白血球減少など
8.アラバ
- ・効果発現までの期間:数週間-3カ月
- ・使用量:10-20mg/日、100mg3日間(導入時に使用する場合がある)
- ・特徴:速効性でMTXと同等の効果が期待できるが、半減期が長い(血中に長く残る)ため、 副作用の治りが遅かったり、重篤となることがあるので、肺病変をはじめとする合併症のない患者さんに使用します。 軽度の副作用は用量調節を行い経過を見ますが、 万一、重篤な副作用が生じた時は、クエストラン(早期の体外排泄を促します)を使用します。
- ・主な副作用:間質性肺炎(MTXの際と同様の対応をしてください)、骨髄抑制、感染症、肝障害、高血圧、下痢、高血糖など
9.リドーラ(経口金製剤)
- ・効果発現までの期間:4-6カ月
- ・使用量:3-6mg/日
- ・特徴:注射金剤に較べて効果も弱いが、副作用も少ない。
- ・主な副作用:発疹、口内炎、下痢、腎障害、まれに間質性肺炎
10.イムラン
- ・効果発現までの期間:2-4カ月
- ・使用量:25-100mg/日
- ・特徴:免疫抑制剤で効果は期待できるが、副作用のモニタリングは重要です(特に骨髄抑制、肝障害)。 併用薬に注意(原則としてザイロリック(尿酸値を下げる薬)やACE阻害剤(降圧剤の一部)は併用しません)。 また、腎不全は骨髄抑制の危険因子なので注意深く用います。
- ・主な副作用:骨髄抑制、肝障害、発熱など
11.エンドキサン
- ・効果発現までの期間:2-4カ月
- ・使用量:50-100mg/日
- ・特徴:免疫抑制剤で、関節外症状(血管炎や間質性肺炎など)や合併症(アミロイドーシスなど)を併発した時に使用することがあります。朝一回で服用します(出血性膀胱炎予防のため)。
- ・主な副作用:骨髄抑制、感染症、出血性膀胱炎、肝機能障害など
4.Biological DMARDS(生物学的製剤)の特徴と副作用
1.レミケード
- ・効果発現までの期間:数日-3カ月
- ・使用量:約3mg/kg,6-8週間毎、2時間以上かけて点滴投与。
- ・特徴:キメラ型抗TNFαモノクローナル抗体。MTX6mg/週を3ヶ月以上使用しても効果不十分で活動性の高い症例や早期に骨びらん(骨の一部が溶ける) が生じた方にMTXと併用して使用します。もちろん、進行して活動性の高い方にも使用します。キメラ型(抗体の一部がネズミ由来)のため、レミケード に対する抗体ができにくくするために、MTXとの併用が必要とされています。効果は非常に高く、臨床症状のみでなく、軟骨や骨の破壊の進行を強力に阻止します。 しかし、すべての症例で有効というわけではなく、2-3割の一次無効症例(最初から効かない)や二次無効症例(効果の減弱)する方々もいます。 2009年より投与2回目終了後(6週後以降)から、投与量増量(これまで3mg/kgであったのが段階的に10mg/kgまで可)、及び期間短縮(これまで8週間毎であったのが最短4週間間隔まで可)が認められ、 これらの問題点を考慮した治療が可能になりました。有効性の向上が期待されています。一方副作用の点からは、時に重篤な副作用を生じることがあるので、結核などの既往(ツベルクリン反応・胸部CTは必ず行います)、 日和見感染症への感受性(白血球やリンパ球の数や全身の画像診断)などをチェックし、使用可能は患者さんを慎重に選び使用します。モニタリング(効果・副作用の有無の経過を見る)は、使用ガイドラインに 従って注意深く行います。
- ・主な副作用:投与時反応(点滴中の血圧低下、気分不良や発熱など)、肺炎、真菌症など日和見感染、心不全、脱髄性疾患など
2.エンブレル
- ・効果発現までの期間:数週-3カ月
- ・使用量:25-50mgを1-2回/週、皮下注射。
- ・特徴:可溶性TNFレセプターで有効性はレミケードとほぼ同等ですが、効果発現はやや遅れる傾向にあります。対象患者もレミケードと同等ですが、 MTXとの併用なしに使用できます。しかし、臨床効果は併用したほうが高いことが多くの臨床研究で示されています。 一次無効、二次無効については比較的少ないですが、無効時には多剤への変更を考慮します。 投与前検査はレミケードと同様に行い、モニタリングも同様にガイドラインに従って、 慎重に行います。 外来使用、原則として自己注射を基本とするので、原則として自己注射が可能で、外来通院が可能な患者さんが主な対象となります。
- ・主な副作用:注射部位反応(発赤など)、日和見感染、心不全、脱髄性疾患など
3.ヒュミラ
- ・効果発現までの期間:数週-3ヶ月
- ・使用量:40mgまたは80mgを2週間毎に皮下注射。
- ・特徴:ヒト型抗TNFα抗体で、有効性は多くの海外での臨床研究でレミケードやエンブレルと同等と報告されています。対象患者は、エンブレルとほぼ 同等で、MTXの併用なしに使用できますが、やはり併用したほうが高い有効性が得られるとされています。治療前検査、モニタリングも上記抗TNF製剤2剤と同様に 行い、使用可能な患者さんを慎重に選び、注意深く観察してゆきます。
- ・主な副作用:注射部位反応(発赤など)、日和見感染、心不全、脱髄性疾患など
4.アクテムラ
- ・効果発現までの期間:数週-4ヶ月
- ・使用量:8mg/kgを3-6週間毎(約8割の方は4週毎)に点滴投与。
- ・特徴:ヒト化抗IL-6レセプター抗体で、単剤で有効性は非常に高く、日常生活動作改善、骨・軟骨破壊の抑制効果が証明されています。有効確率(有効である頻度) は非常に高い生物学製剤で継続率も高く、二次無効が少ないのが特徴です。しかし、効果の発現はTNF阻害剤よりやや遅れる傾向にあります。 血中濃度が維持されている間は、炎症反応(CRPやSAA、赤沈など)をほぼ完全に正常化させるので、炎症値で投与間隔を調整することが可能です。治療前の検査は TNF製剤と同様に行い、モニタリングも慎重に行いながらガイドラインに従って投与します。炎症反応が上昇しにくいので、感染症を起こした時には診察や画像診断を 行い、診断及び治療するのが重要となります。
- ・主な副作用:投与時反応(点滴中の血圧低下、気分不良や発熱など)、肺炎、真菌症など日和見感染、高脂血症など
5.オレンシア
- ・効果発現までの期間:数日-4ヶ月
- ・使用量:体重により、@60kg未満:500mgA60kg以上 100kg未満:750mgB100kg以上:1000mg 初回投与後、2週、4週に投与し、以降4週毎に投与(約30分の点滴です)。
- ・特徴:免疫をつかさどるリンパ球という細胞(T細胞)のはたらきを抑えることにより、関節炎を引き起こすサイトカイン等の過剰産生を抑制し、効果を発揮する製剤です。 2010年9月から使用可能となった新しい薬ですが、日本での治験、海外の成績(すでに50カ国以上で認可)から他の生物学的製剤に劣らないすぐれた効果が証明されており、 これまでの製剤と作用機序が異なることから期待の高い製剤です。感染症等のモニタリングは他の生物学的製剤と同様に行っていきます。
- ・主な副作用:肺炎、慢性気管支炎などの悪化、蜂巣炎、真菌症、投与時反応など
5.ステロイドについて
使用の実際と考え方
・原則としてDMARDSが効果をあらわすまでのbridge therapy(つなぎ治療)または、効果不十分の場合の補助療法です。 プレドニン、リンデロン、メドロール、ソルコーテフなど種々の合成ステロイド剤がありますが、 効果、副作用、使いやすさの点から、リウマチにおいては作用時間が中間のプレドニン、メドロール(経静脈投与ではソルメドロール) が主に用いられます。
・内服投与: 用量を調節しやすい点、効果、副作用のバランスからプレドニンが大部分の患者さんに用いられます。 少量内服投与(5mg/日以下)を活動性の高い症例に用います。 コントロールが良好になれば、ゆっくりと減量していきます。 関節外症状(間質性肺炎や血管炎)や合併症(アミロイドーシスによる臓器障害)には 大量(60ー40mg/日)から中等量(30mg-20mg/日)の投与を行いますが、効果が得られれば漸減し、維持量に減量します。 この場合、関節外症状や合併症の状態により維持量は異なります。
・関節内投与: ステロイドを関節内に注射する治療法で、腫れと痛みをとるのに非常に効果的です。 特定の関節の強い痛みによる不眠(肩など)や日常生活動作の低下、大量の関節水腫(膝など)の時に主に用います。 指の小関節の変形予防にも使用します(未変形例では効果が非常に長期に持続することがしばしばあります)。 関節周囲では、屈筋腱腱鞘炎(バネ指)や上腕二頭筋腱炎(肩前方の強い痛み)に対して腱鞘内に注射します。 原則は、月1回まで、同一関節には1カ月は間隔を開けます。 しかし、病状により頻回に行なわれる場合もあり、その場合はDMARDSの変更検討、滑膜切除手術の検討、 内服ステロイド増量のいずれかを考慮しなければなりません。
・血管内投与:全身に及ぶ強い関節炎(腫脹)で発熱、日常生活動作の低下、不眠等を生じている例に投与することがあります(ミニパルス療法:1-3日間、ソルメドロール125mgの投与が多い)。関節外症状の血管炎や間質性肺炎やアミロイドーシスの難治性下痢にも大量投与を行うことがあります (パルス療法:2-3日、ソルメドロール1000mgまたはリンデロン100mg)。 また、感染症などで全身状態が悪化し、輸液療法を行っている患者さんで 経口ステロイドを内服していた場合には点滴中または静注のステロイド投与を必ず行います (この場合、経口量よりも多めに投与しますーストレスによる需要の増加と反応性低下のため)。
ステロイドの副作用について
骨粗鬆症
リウマチによる炎症、運動量低下、閉経後の女性(エストロゲン低下)と併せてステロイド内服は骨粗鬆症の危険因子となります。 進行すると腰椎圧迫骨折、転倒による大腿骨頚部骨折を生じやすくなります。
診断
骨密度測定:DEXA(デキサという骨密度測定装置)にて測定します。 腰椎や大腿骨頸部の値が、若者正常者に対して80%未満は骨折の危険性があり、治療対象となります。 BAP,DPD,NTXなどの骨代謝マーカー(検尿や採血で測定)から、骨粗鬆症のタイプを決め、それに応じた治療を行います。 骨形成低下(骨の作りが遅い)と骨吸収亢進(骨が早く溶ける)を評価します。
治療
フォサマック、ボナロン、ダイドロネル、エビスタ、ビタミンD3、Ca等から病態に応じて使用します。
ステロイド誘発糖尿病
中等量以上飲んでいる患者さんでは、しばしば食後高血糖になります。 定期的に血糖測定を行い、高血糖時には糖尿病の治療を行います。 ステロイド減量により改善します。
満月様顔貌、中心性肥満
中等量以上飲んでいる患者さんで生じます。満月様顔貌はステロイドを減量するともとの顔にもどります。
高脂血症
ステロイド内服中は過食になりやすいので体重コントロールに注意しましょう。
感染症
中等量以上の内服は免疫力が低下しやすいので、うがい、手洗いをしっかり行い、 感染症が流行っている時期は外出時はマスクをつけましょう。 感染症が疑われる症状があれば、すぐに受診または主治医に連絡しましょう。
皮膚の脆弱化
長期間の服用により、皮膚が薄くなったり、皮下出血を起こしやすくなります。