新生「新居森林組合」の事業展開方向


 新居森林組合は、平成10年11月1日に地区の2組合が広域合併して新しく船出をした が、今日のような経済が大不況の中での新組合の前途は多難である。
 新組合の取り組むべき事業については、東予流域林業活性化センターが示している活 性化計画を実践することが最善の方向と考えているので、その方向を列記したい。

1.新組合の事業の柱は、貯水能力の高い水源林造成である

 1) 県下一の工業地での森林林業の活性化

 当地区のような都市型林業地では、人工林の役割は木材生産よりも公益的機能を よく発揮する人工林づくりによって森林林業の活性化をするほうがよいと考える。
 当地区の27千haの森林の内21千haは民有林であり、その内の67%の14千haは人工 林となっているが、この人工林の内の7千haは、間伐の必要な31年生以上の過密人 工林となって貯水能力は低下を続けている。
 そこで新組合は、地区内の企業や市民に「いのちの水」を安定的に供給できるよ うにするために、7千haの過密人工林を貯水能力の高い水源林にするための事業へ の取り組みをすることによって、地区内の森林・林業の活性化をするべきである。

貯水能力の高い水源林づくりのための有用広葉樹造林

植栽後2年目のケヤキ

(植栽後2年目のケヤキ)

植栽後40年生のケヤキ

(植栽後40年生のケヤキ)

 2) 戦後最悪の立木価格安での水源林造成

 新組合管内の過密人工林を貯水能力の高い水源林にするためには、この過密人工林 の搬出間伐をしなければ水源林の造成はできない。
 しかし、今は戦後最悪の立木価格の安値により搬出間伐をしても大幅な赤字施業と なるので、これをどのようにして実施するかは、新組合が事業実施するための大きな 課題である。

 3) 水源林造成のための搬出間伐施業のコスト低減策

 水源林造成のための搬出間伐木の木材価格は、スギ40年生で、原木市場売上高が、 平成10年12月現在で1立米当12,000円、市場諸費用控除後手取額は1立米当10,360円位で ある。
 そこで、東予流域では、水源林造成モデル団地の設置による「高能率共同施業」方 式で素材生産コスト低減をしたが、この搬出間伐施業(ha当66立米搬出)でも、1立米当 12,400円であるから、1立米当 2,000円の赤字施業になる。
 新組合は創意工夫をして、更なるコスト低減対策を検討する必要がある。

搬出間伐施業1 搬出間伐施業2
(新居森林組合で搬出間伐施業のコスト低減方法を検討)

 4) 水源林造成に対する地方自治体の支援

 新組合管内の新居浜市と西条市の地方自治体は、今迄右肩上がりの積極財政政策で 森林組合事業の支援をしてきたが、近年の税収の落ち込みにより、両市共に行財政改 革を実施しているので、新組合は水源林造成のために現在以上の公的支援を受けるた めには、貯水能力の高い水源林造成が如何に大切なのか、住民の理解を得るための取 り組みをする必要がある。

2.新組合は若い林業者の確保育成をする必要がある

1) 新組合管内の林業事業体

 新組合管内には、平成10年度現在で林業事業体が29事業体あり、133 名の作業員が 居るが、その内訳は下記のとおりである。

平成10年新居地区林業作業員の年間就労状況

林業事業体 年  間  就  労  状  況  (日)
組  織 区分 59日以下 60〜89日 90〜149日 150〜209日 210日以上   計  
森林組合 2 林産 2人 0人 1人 1人 10人 14人
造林 4  0  6  5  18  33 
会  社 3 林産 3  0  3  2  13  21 
造林 11  0  0  0  0  11 
個  人 24 林産 3  1  5  6  11  26 
造林 7  4  9  6  2  28 
29 林産 8  1  9  9  34  61 
造林 22  4  15  11  20  72 


新居森林組合で若い林業者の確保育成を

(新居森林組合で若い林業者の確保育成を)

平成10年度新居地区林業作業員年齢構成

組  織 区分 29歳以下 30〜39歳 40〜49歳 50〜59歳 60歳以上  計  保険 年金
森林組合 2 林産 1人 3人 1人 5人 4人 14人 4人 4人
造林 1  7  7  3  15  33  18  18 
会  社 3 林産 4  3  3  2  9  21  14  7 
造林 1  2  3  2  3  11  11  11 
個  人 24 林産 0  2  2  3  19  26  0  0 
造林 0  0  1  3  24  28  1  0 
29 林産 5  8  6  10  32  61  18  11 
造林 2  9  11  8  42  72  30  29 

2) 新組合の作業員が大幅に減少

 平成7年度には森林組合作業員が両組合で63名いたが、平成10年6月には47名に迄 減少し、年齢構成も50歳以上の者が57%を占めて、森林組合作業員の高齢化、弱体化 が進んでいる。

3) 新組合で若い林業者確保育成事業を実施

 新組合が水源林造成モデル団地の設定で「高能率共同施業」を実施するためには、 高性能林業機械を操作する若い林業者を確保する必要があるので、平成11年度から 「東予流域若い林業者確保育成事業実施要領」により若い林業者の確保育成事業への 取り組みをする必要がある。

新居森林組合の高性能林業機械

(新居森林組合の高性能林業機械)

3.新組合は地区産原木の加工への参入をする必要がある

1) 「地区産住宅部材供給団地」の設置

 新組合管内で生産されている原木の67%は、地区内で加工されず地区外へ流出 しているので、新組合では平成14年度に「地区産住宅部材供給団地」の設置を する計画をしていた。しかし今の不況は住宅産業を直撃して住宅の建築戸数が激減 する一方で、国産材を使用する在来工法による住宅は更に大幅に減少し、 愛媛県内でも製材工場や建築業者の倒産が続いている。
そこで、当地区としては隣接流域の中予山岳流域で事業を進めている「大型の 国産材流通加工施設」の経営状況を見た上で、設置の検討をするほうが賢明である と考える。

2)新組合で規格品の地区産材ミニハウスの製造販売

 新組合は、今後も原木生産にのみとどまっていたのでは産地間競争の敗者になることは 確実である。
 そこで、近隣地の遊休製材工場等の活用をして、規格品の地区産材ミニハウス等 (8畳の部屋に便所と洗面所付のハウス)をプレハブハウスとして製造し、地区内で 販売する体制の確立をして、近い将来「地区産材住宅部材供給団地」の設置のための人 材育成等をする必要がある。

4.むすび

 新組合は、以上3つの事業を柱に森林組合経営をして、近いうちに同じ経済圏にある 周桑森林組合との再合併も視点に入れて、合併によるスケールメリットの追求ができる 事業展開をする必要がある。

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